『攻殻機動隊』は、士郎正宗先生の漫画『攻殻機動隊THE GHOST IN THE SHELL』を原作として作られた作品群の総称です。
1995年に作られたアニメ映画『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』で一世を風靡し、その作りこまれた世界観は他の追随を許さず、その後のSFアニメに甚大な影響を与えた作品です。
しかし、『攻殻機動隊』と名のつく映像作品が何種類もあり、どれから手をつければいいのかわからない方も多いでしょう。
ここでは『攻殻機動隊』全作品(2025年現在)の大まかな概要と見る順番、最短ルートなどをご紹介しています。
これから『攻殻機動隊』を履修したい方は、是非参考にしてみてください!
攻殻機動隊は作品によって世界線が違う?
攻殻機動隊は、大別して二つの世界線があります。
一つは、主人公の草薙素子がネットに同化する世界線。
もう一つは、素子がネットに同化しない世界線です。
原作漫画に順守するのは、ネットに同化する世界線の方です。

つまり、「ネットに同化しない世界線」は、完全アニメオリジナルなのですが、一般的に「攻殻機動隊」と言って想像される代表作も、とくに有名なエピソード「笑い男事件」等も、パチンコやスロットなどのコラボも、「ネットに同化しない世界線」の方です。
また、「ネットに同化する世界線」の方が原作漫画順守と先に描きましたが、あくまでも「ネットに同化しない世界線」と比べてどちらかと言えば、という話です。
原作漫画は根本的に、今までアニメ化されてきたものとはキャラクターの性格や関係性、話の内容も違います。
原作漫画を読む順番はまた、記事の最後の方で後述します。
主人公がネットに同化する世界線

2025年現在アニメ化されている作品で、主人公がネットに同化する世界線を描いた作品は、わずか2作品です。
1995年に初めて攻殻機動隊を映像化し、その後のアニメ作品に多大な影響を与えた『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』と、2004年にその数年後のバトーを主人公とした後日譚『イノセンス』です。
主人公がネットに同化しない世界線

問題は、『主人公がネットに同化しない世界線』です。
こちらが、劇場版まで合わせてなんと、16作品もあります。
そう説明されると気後れしてしまうかもしれませんが、地上波で放映されただけはあり、『主人公がネットに同化しない世界線』よりも世界観がわかりやすく、とっつきやすいです。
有名なエピソードもこちらのものが多く、コラボするのも基本的にこちらで、『攻殻機動隊』を代表する作品なので、
一般的にイメージされる攻殻機動隊らしい攻殻機動隊を求めるのなら、こちらを選んでおけば間違いないでしょう。
攻殻機動隊を見る順番

肝心の、観る順番ですが、
世界線が二つあることさえ理解し区別さえすれば、あとは基本的に放映順がわかりやすいです。
主人公がネットに同化する世界線
こちらはなにせ2作品しかありませんし、放映順に観れば間違いありません。
- GHOST IN THE SHELL (1995年)
- イノセンス(2004年)
主人公がネットに同化しない世界線
こちらは16作品もありますが、大きく3つのシリーズに分けられ、総集編のような作品も混ざっているため、省略することも可能です。
大きく、以下の3シリーズに分けられます。
- S.A.C
- ARISE
- S.A.C(3DCGオリジナルアニメ)
総集編で端折らずにスタンダードに履修するのなら、以下の順番がおすすめです。
S.A.C

まずは、こちらの世界線の発端となるS.A.Cシリーズです。
ストーリーを追うだけなら、以下のテレビアニメ3作品だけで構いません。
- 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(2002年)
- 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG(2004年)
- 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(2006年)
このほかに、同シリーズで劇場版の『攻殻機動隊 S.A.C The Laughing Man(2005年)』と『攻殻機動隊 S.A.C Individual Eleven(2006年)』があります。
『攻殻機動隊 S.A.C The Laughing Man』は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のメインストーリーとなった「笑い男事件」を、
『攻殻機動隊 S.A.C Individual Eleven』は『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のメインストーリーとなった「個別の11人事権」のストーリーを主軸に再編集したものなので、ストーリーを追うだけなら省略しても構いませんが、
どちらもアニメ版未収録の完全新作シーンを含み、より話やキャラクター、関係性などを深く掘り下げてあるので、「もっと深く知りたい、考察したい」と思う方はこの2作品も是非視聴してみてください。
ARISE

ARISEシリーズは、S.A.Cシリーズの過去編です。
草薙素子と公安9課の仲間たちが出会い、公安9課を発足するまでを描いています。
ただ、完全新作としてキャストを一新しているため、S.A.Cのイメージで見るとちょっと驚くかもしれません。
その後に続く『ARISE PYROPHORIC CULT』で、ARISEに続く新たなストーリーが描かれ、最後に『攻殻機動隊 新劇場版』へと繋がります。
『ARISE PYROPHORIC CULT』は省略することも可能な作品ですが、これを見ておくことで『新劇場版』がより理解が深まる内容となっています。
- ARISE border:1 Ghost Pain(2013年)
- ARISE border:2 Ghost Whispers(2013年)
- ARISE border:3 Ghost Tears(2014年)
- ARISE border:4 Ghost Stands Alone(2014年)
- ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE(2015年)
- ARISE PYROPHORIC CULT(2015年)
- 攻殻機動隊「新劇場版」(2015年)
「攻殻機動隊 ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE(ARISE A.A)」は、攻殻機動隊 ARISEの4部作をまとめて2部にし、さらに「攻殻機動隊 ARISE PYROPHORIC CULT」をあわせて放送されたものです。
「攻殻機動隊 ARISE」と「攻殻機動隊 ARISE PYROPHORIC CULT」の2つの作品を見れば、その内容は網羅できます。
S.A.C(3DCGオリジナルアニメ)

最後に、3DCGオリジナルアニメとして一新された新たな『S.A.C』シリーズ。
ノーマルな『S.A.C』に比べ、よりとっつきやすくわかりやすい内容となっているので、初心者さんにおすすめな作品なのですが、
Netflixで配信されたアニメだからか、Netflix以外の配信サイトではレンタルのみ。
それなのに、Netflixでは『最後の人間』だけ配信していないという、ちょっとお勧めしにくさがあるのが残念です。
『イノセンス』のときのメインキャスト陣ですので、『イノセンス』のキャスティングで『ARISE』世界を楽しみたい方もお勧めです。
- 攻殻機動隊 SAC_2045(2020年)
- 攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争(2021年)
- 攻殻機動隊 SAC_2045 Season 2(2022年)
- 攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間(2023年)
時系列最短ルート

公開順は前後しますが、この素子がネットに同化しない世界線を極力わかりやすいよう、時系列順の最短ルートで把握したい方は以下のルートがおすすめです。
- 攻殻機動隊 ARISE(4部:合計231分)
- 攻殻機動隊 新劇場版(99分)
- 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man(160分)
- 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven(161分)
- 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(108分)
- 攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争(118分)
- 攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間(126分)
攻殻機動隊の原作漫画を読む順番

攻殻機動隊の原作漫画を読む順番は、出版順そのままで構いません。
時系列も前後することは無いため、読む順番に迷うことは無いでしょう。
迷うとしたら、ナンバリングが「無印」「1.5」「2」と、間に「1.5」が入ることくらいでしょうか。
- 攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL
- 攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER
- 攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE
原作は、アニメよりもっとラフな雰囲気で、18禁なシーンもあり、素子の性格も勝ち気で明るく、バトーと軽口をたたいてかけ合うような軽さがあります。
また、コマの枠外に原作者のコメントが所狭しと書かれています。
ここで、この世界の設定や発想元などが詳細に書かれており、漫画よりこのコメントが本編では?と思えてしまうほど読みごたえがあります。
これだけ緻密な絵で練り込まれた世界観とストーリーを描くだけでもすごいのに、それだけでは飽き足らずコメントまでびっしり書いているのは、並々ならぬ才能を感じますね。
攻殻機動隊を見る順番のまとめ

『攻殻機動隊』のアニメ、原作漫画それぞれ読む順番をご紹介しました。
アニメは特に、素子が「ネットに同化する世界線」と「ネットに同化しない世界線」に二部しており、原作とは違う「ネットに同化しない世界線」の方が主流になっているのは、ちょっと意外かもしれませんね。
しかし今回、2026年1月から原作漫画に近い絵柄で新たな『攻殻機動隊』のアニメが始まります!
アニメでもいよいよ原作順守の世界が描かれるのでしょうか。楽しみですね!

