『ガンダムジークアクス』が、話題を呼びながら最終回を迎えました。
最終回を迎えたというのに、翌週からまた1話から再放送されるというのですから、反響の高さがうかがい知れます。
「一年戦争でジオン軍が勝利した後の世界」という、初代ガンダムの別世界線を舞台にした異色作「ガンダムジークアクス」は、結局つまらなかったのでしょうか、おもしろかったのでしょうか。
たった1クールでありながら鮮烈な印象を与えて去って行った、まさに彗星のようなこの「ガンダムジークアクス」の評判をまとめていきます。
ジークアクス最終回の評価
全体的な総評は、良い評価が多かったように思いますが、見る人を選び、ついて行けない人はふるい落とされていったとも言えるかもしれません。
たった1クールのため、話が濃縮され過ぎていて、最低限しか描かれないのに毎度毎度視聴者の予想を覆すジェットコースターのような激しさは、毎週毎週SNSを沸かせました。

悪い評価
悪い評価は、短い尺のためかなり割り切った構成によるところが多いような気がします。
マチュに感情移入できない
とにかく声高に叫ばれ続けたのが、主人公である「マチュに感情移入できない」という意見でした。

マチュは、常識的で真面目な母とお嬢様学校通い、塾にも行っていることから、生まれも育ちも堅実のようなのですが、本人は最初から危なっかしくフラフラしたキャラクターでした。
偶然出会ったニャアンの運んでいた怪しい荷物やシュウジの存在など、アングラな匂いに自ら食いつき、地球に漠然と憧れ、よく分からないままMSに乗り込み、命の危険すらある非合法なクランバトルに突き進んでいく。
向こう見ず過ぎて、ちょっと怖いですね。
「ガンダムがそう言っている」と電波な発言をするシュウジに惹かれ、彼に近しい存在になるためにのめり込んで行ったり。
ちなみに、マチュのライバルのような立ち位置のニャアンもまた、マチュとは違った意味で流され体質。彼女もシュウジを取り戻すためにと、盲目的にキシリアに傾倒し、道を踏み外していきます。
しかし、鶴巻監督が若い子の言動不一致な特徴に言及しているコメントも見受けられたので、これはどうも意図したもののよう。
ジークアクス再上映の舞台挨拶、鶴巻監督の「目標に対して一貫性のある行動を取ろうとするのは大人の考えで、突然態度を変えたり台無しにしてしまったりする不安定さこそが若者なんじゃないか」という言葉が印象的でした。
— シドウミツキ@VTuber/3Dアバタースタイリスト (@V_sdmk) June 28, 2025
これを聞いた後だと、マチュの見え方が全然違う。#GQuuuuuuX #ジークアクス
マチュの声優さんご自身が「理解できなかった」と言っていることを理由に挙げる方もいますが、
過去作「ガンダムW」のヒロインリリーナを務めた矢島晶子さんも、同作の人気キャラトレーズを務めた置鮎龍太郎さんも「理解できなかった」と言っていますし、正直、マチュなど足元にも及ばないぶっ飛んだキャラでしたから、
声優さんが理解できるかどうかを指標にするのも、一つの基準にはなりますが、それが必ずしも欠点だとは言えないように思います。
全く理解できないが故に魅力的なキャラ、人気があるキャラって、結構いますから。
説明不足
情報量や独自設定が多すぎるのに、圧倒的な尺不足であることは、いたるところに感じられる作品だったとは思います。
ただ、個人的には、それじゃあこの作品を2クールでやったらよかったかと聞かれると、ちょっと違うようにも感じています。
ちょっと(ではないかも)尺が足りないくらいの強引な疾走感があるからこそ、強引にからめとられて最後まで完走してしまった視聴者も多かったと思うからです。
それに、説明不足も計算づくで、あえて想像の余地を多く取ったようにも思えます。
何しろ、この作品自体が、「初代ガンダムで叶わなかったものをどうすれば叶えられるか」と、初代ガンダムを逆手に取って独自設定を打ち立てた上に成り立った作品ですから。
あえて隙を多く残すことで「どうすればより良い作品になるか」を視聴者の想像力にゆだねるという、挑戦状的な作品でもあるように思えます。
過去作履修必須?
この「ジークアクス」という作品は、初代ガンダムで救われなかった様々なものを救っていく作品でした。
逆に言うと、初代『機動戦士ガンダム』はもちろんのこと、『Zガンダム』や『逆襲のシャア』なども関連作品というか参考作品であること前提の作品です。
新たな展開があるたびに「やっと初代履修したのに、Zまで履修しないといけないの⁉」「逆シャアも知らないとダメなの⁉」という悲鳴が至る所で起こっていました。
ガンダム知識あること前提の作品のため、海外では人気が伸び悩んだとも聞いています。
しかし、私は、初代とZのふわっふわしたイメージしかありませんでしたが、十分楽しめました。
SNSの視聴者たちの解説や考察が面白かったおかげもあるとは思いますが、むしろジークアクスを先に履修して、今から初代やZをのんびり漁っていき「何が彼らをここまで掻き立てたのか」を探っていくことが楽しみです。
もちろん、好みは有りますが、前作前提の作品だからといって、全て履修してからでないと楽しめない、ということは無いと思います。
良い評価
毎話視聴者を驚かせる怒涛の展開の連続の末、大団円に持って行ったジークアクスの熱量に、多くの視聴者が沸きました。

救われてほしいキャラが全員救われた
やはり、一番感慨深かったのは、初代で「報われてほしいのに散って行った人々」が救われていったことではないでしょうか。
シャアとララァはもちろんのこと、アムロはそもそも戦争に巻き込まれないし、アルテイシアが女王に擁立され、しかもその傍には多くのファンを泣かせた人格者ランバ・ラルが仕えている、という、
初代のファンが見たかった世界がそこにはありました。
それゆえ、長いエンドロールの間も涙が止まらない人、これを見ずに先立ってしまった友人たちに思いをはせる人など、多くの人たちの心を揺さぶり、38年越しの夢を叶えてくれたと拍手喝さいを浴びています。
好き勝手やった二次創作成功例
ネタバレになりますが、この作品の目的を言ってしまうと、「シャアもララァも死なない世界」の実現です。
その世界を作り上げるためには、初代やZには無かった多くの独自設定を作り、独自の過去を作り、独自のキャラを絡ませ、強引に話を動かすことになりました。
二次創作界隈で「捏造」と言われる類のことが、恐れもせずにバンバンに行われたわけです。
それもこれも、すべては「シャアもララァも死なない世界」のため。そして、シャアもララァも死ななければ、さらにシャリアやランバラル等、多くの人も救われることも見せつけてくれました。
目的がはっきりしていたからこそ、かなりの好き勝手をやっても、あの気難しいガノタの人たちが逆に魅入られ、涙にむせぶハッピーエンドにたどり着けたのでしょう。
後付け設定で好き勝手やっても、目的がブレなければ評価する人がいる、という思い切った成功例を作り上げてくれました。
今後、気難しいファンの多い長寿コンテンツで、第二第三のジークアクスが生まれてくるかもしれませんね。
リアルタイムでSNSが盛り上がった
もう何はともあれ、SNSの盛り上がりようがすごかった!
毎週毎週、ジークアクスの最新話が放映されるやいなや、考察に燃える人、二次創作に走る人、心の丈を叫ぶ人、ガンダムの常識を覆す内容におののく人、さまざまな反応で溢れていました。
「ジークアクスは、このリアルタイムでのSNSの盛り上がりも含めて一つの作品」という人も多かった、ちょっと特殊な作品です。
でも、乗り遅れた人も大丈夫。
さっそく再放送が決定したため、SNSはまた、毎週、二周目の先輩たちの解説と新たな発見と共に盛り上がることでしょう。
ジークアクス最終回の評価のまとめ

あの初代ガンダムに絡めながら、映画+たった1クールという短さで予想外の角度から切り込んできたガンダムジークアクス。
初代から38年も考察し続けてきたガノタの人たちの意表をつきながら、「シャアもララァもアムロも死なない」世界の実現へと突き進んだ、稀有な作品となりました。
あまりにも濃縮されていて、独自設定も多く、主人公の言動も尖っていて、振り落とされた人も多くいましたが、
最後のララァの笑顔に、長年の痛みがようやく癒され涙した人、救われた人も多かった、古参にも新規にも愛され盛り上がった作品となりました。
SNSの盛り上がりも一丸となった素敵な作品を、ありがとうございました。