『LAZARUS(ラザロ)』は、2025年春アニメとして放映された作品です。
アニメーション制作はMAPPA、企画プロデュースはSOLA ENTERTAINMENTで、
『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎氏を脚本・監督に据え、キャラクターデザインを『BANANA FISH』の林明美氏、
音響を『トップガン マーヴェリック』のフォルモサ・グループ、アクション監修を『ジョン・ウィック』シリーズの監督チャド・スタエルスキが担うという、国境を越えた製作チームで作られました。
放映前から、洋画のようなクールな雰囲気に『カウボーイビバップ』を重ねる人も多く、大人ファンを多く惹きつけた『LAZARUS』でしたが、最終回を終えた今、評判はどうなったのでしょうか。
この記事では、『LAZARUS』の最終回ネタバレ有の感想をまとめてみます。
『LAZARUS』最終回の評判
『LAZARUS』の評判は、二分しています。
「つまらなかった」と酷評する人もいれば「最高だった」「続編に期待」という人もいますし、
その中間の「もう一歩足りない」「もっとこうすれば、よりよくなったのでは」という意見も多く、見る人によって評価の別れる作品となったようです。

悪い評判
悪い評判の多くが、雰囲気や第一印象を高く評価しながら「思ったほどではなかった」「期待外れ」という言い方でした。
つまり、全くの駄作というより、最初に抱いたイメージからズレていたということのようです。
原作無しのアニメオリジナルだと、最後まで見て見なければ全く先が読めないため、ままあることですね。
脚本が薄味
一番多かったのが、脚本(ストーリー)への不満ではないでしょうか。
最低限のセリフ回し、小出しにされる情報、前半のスキナーまで届かない肩透かしエピソードの数々にダレてしまった人もいたようです。
最も、前半の内に謎を明かすわけにはいかないので、「どの情報をどのタイミングでどういう演出でつかませるのか」「その情報を開示するまでにどのように布石を置いて行くのか」は手腕の問われるところ。
そこの塩梅が難しかったのかな、という印象があります。
いろいろと唐突過ぎる
前半は、『スキナー博士に関する手がかりらしきものが見つかり、それを探る→博士の居所には繋がり切れず、ガッカリ』というパターンでしたし、
訳アリ人間だらけの即席チームラザロは、必要情報を明かされないまま動かざるを得ないことも多く、かと思えばとある情報が突然明るみに出ることもある。
そのタイミングや情報へのたどり着き方に、いまいちワクワクしなかったり、情報が足りなさ過ぎて考察で盛り上がることもできなかった、等の意見もありました。
特に酷評が集中したのが、第11話で突如現れた暗殺者、双竜。
彼は、都市伝説のようなものだった、子どもを暗殺者に育て上げるというウェントン計画の生き残りだった、という話なのですが、登場もいきなりだし、ウェントン計画も本編に絡む訳ではないしで「話に必要だったのか?」と随所で首をひねられています。
惜しむらくは、『LAZARUS』の企画当初から関わっていた脚本家信本敬子氏が4年前に逝去されていたことです。
『マクロスプラス』『カウボーイビバップ』など、渡辺監督とのタッグで名作を作り出して来た方でした。
信本敬子氏が脚本を書かれていたら……と惜しむ声も多く聞かれました。

良い評判
厳しい声も多々ありますが、評価する声、続編を期待する声も多くあります!
雰囲気がおしゃれ
雰囲気の良さで言えば、群を抜いていたのではないでしょうか。
クールでしっとりとした大人向けの雰囲気は、独特のものがありました。
『LAZARUS』という作品でしかありえない空気に魅了された方は多かったようです。
作りが丁寧
背景、音楽、キャラデザ、舞台設定、演出、演技、映像のいたるところが隅々まで丁寧に作られた作品でした。
あえて実写のように作りこみ、演技もリアル志向のため派手さは少なく感じますが、その分アクションが目まぐるしくて迫力ありました。
あえて全てを語らない
賛否別れた理由でもありますが、『LAZARUS』はあえてセリフを最小限にまで削った作品でもあったと思います。
最後、残る命僅かの状態でようやく発見したスキナー博士も、自らは語らず「君にはこの世界はどう見える?」と尋ね、その答えを聞き、
後は、間や余韻、「……」としか文字に起こせないような声にならない声の演技で語る。
役者さんの演技や演出、音楽等、そのシーンを作る空気に全てを託し、解釈を視聴者それぞれの感性に委ねる、勇気のいる作風でした。
はじまりの物語
最終回まで見ると分かりますが、この『LAZARUS』、最終回でようやくラザロというチームが完成したようなところがあります。
スタッフの皆さんも、口々に続編を希望するコメントを出していますし、『LAZARUS』は盛大なプロローグだったのかもしれません。
もしも本当に、何らかの形で彼らの物語が続いたとしたら、その物語を含めて見直したときに『LAZARUS』はまた違った意味を持つのかもしれない。
そんな含みも感じる作品でした。
『LAZARUS』最終回のまとめ

グローバルなスタッフの元作られた『LAZARUS』。
賛否両論あり、見る人を選ぶ作風だったようですが、
見る人がただ流し見て、与えられる刺激で満足するのではなく、その人それぞれが何を感じ何を考えるのかを促すような作品でした。
スタッフの皆さんは続編を作る意欲をアピールされていますし、あのチームが今後、どんな物語を紡いでいくのか見てみたいです!