トゥントゥントゥンサーフールという、謎めいたキャラクターをご存じでしょうか。
顔のついた丸太に手足が生え、木製のバットを持った見た目をしています。
どうも動画やゲームが複数作られているようで、バットを振り上げ暴力をふるってきたりと、ホラーめいた立ち回りをするようですが、実態が判然とせず「なんだこれ?」と思っていた人も多いのではないでしょうか。
その反面、Z世代や子どもたちには爆発的に受けており、その仲間も含め(これがまたやたら多い)、次々と彼らをネタにした動画、ショート動画等が増えてミーム化しています。
トゥントゥントゥンサーフールという、意味は掴めないのに妙に耳に残る名前。それと関連性があるのかよくわからない見た目。
不気味なクリーチャーじみた、しかし共通点も無く取り留めのない独特の仲間たち。
ここではトゥントゥントゥンサーフールの元ネタと謎めいた仲間たちに迫ります。
トゥントゥントゥンサーフールの元ネタは何?
トゥントゥントゥンサーフールの正体は、AIで生成されたキャラクターです。
彼を説明するには、まず「サーフール」という宗教儀礼を説明しなければいけません。
インドネシアのヒジュラ暦(イスラム暦)での第9月ラマダーンは、ムスリムが断食(サウム)を行う月として有名です。
「断食」と言っても、ラマダーンの期間ずっと断食するわけではなく、一日の内、日の出から日没までの間だけ飲食を断つ習わしです。
そのため、このラマダーンの期間、ムスリムの人たちは夜明け前の早朝の内の食事「サフール」をしなければ、日没後まで飲食できないという由々しき事態に陥ってしまいます。
そのため、サフールを食べ忘れないよう、午前2時半~3時ごろに若者たちが複数の太鼓を打ち鳴らしながら「サフール、サフール」と呼びかけて回ったり、モスクからスピーカーで起床を促す放送があったりする習慣があるそうです。

トゥントゥントゥンサーフールは、この習慣から生まれたAI生成キャラクター。
「トゥントゥントゥン」は、サフールを呼びかけるときに打ち鳴らされる太鼓の音をあらわしているそうです。
ということは、身体は丸太ではなく太鼓のイメージで、手に持っているバットは、太鼓を鳴らすバチから来ているのでしょうか…
トゥントゥントゥンサーフールの出自
トゥントゥントゥンサーフールの誕生は、2025年2月28日。
@noxaashtというアカウントがTikTokに投稿した動画が初出です。
このインパクトのある見た目と「トゥントゥントゥンサーフール」という耳に残る語感が良かったのか、数百万回再生され、世界的大ブームとなりました。
使われている音声がイタリア語風テキスト読み上げ音声(TTS)であることから「イタリアンブレインロット」シリーズの一例とされているようです。
ブレインロット、イタリアンブレインロットとは?
「ブレインロット(Brainrot)」とは、英語で「脳が腐る」という意味のスラングです。
最近では特にAI生成画像・動画を使った意味不明で脈絡なく、ナンセンスで不条理。しかし、ついつい何度もそれらばかり見てしまう、脳が溶けるような謎の中毒性があるものを指す言葉です。
「イタリアンブレインロット」は本来はイタリア語風の響きを感じさせるナンセンスなネーミングのものを指していたようですが、動物と物体をAIで無理やり統合させたようなもの全般を指すようになってきているようです。
つまり、「AI生成の奇妙なキャラクター(多くは動物と物体の組み合わせ)」でありさえすればなんでも「イタリアンブレインロット」に仲間入りできる可能性があるため、門戸が広く、今現在も次々と仲間が増えて収拾がつかないほどの勢いとなっています。
トゥントゥントゥンサーフールの代表的な仲間の名前
2025年3月頃から人気爆発したイタリアンブレインロット。
8月半ばの現在、すでに100体を超え、その勢いはとどまることを知りません。
ここでは、その中でも特に代表的な仲間の名前と簡単な紹介をしていきます。

トララレロ・トラララ (Tralalero Tralala)
「ブレインロット」文化を築いた立役者。トゥントゥントゥンサーフールと二大巨頭といってもいいでしょう。
青いスニーカーを履いた足が3本生えたサメの姿をしています。
シンプルですが、水陸両用で驚くべきスピードを出すという汎用性の高さも扱いやすいようです。
バレリーナ・カプチーナ (Ballerina Cappuccina)
カプチーノカップが顔になっているバレリーナの姿をしています。
名前だけ聞くとかわいらしいのですが、彫りが深くリアルな顔立ちをしており、愛らしさよりエレガントさを強調しているようです。
見た目の通り、音楽と踊りを愛するキャラクターで、美しく踊る姿が印象的です。
ボンバルディーロ・クロコディロ (Bombardiro Crocodilo)
Bombardiroとはイタリア語の「爆撃手」のこと。
爆撃機の身体がワニになっており、トララレロ・トラララとはライバル関係。
ボディが灰色だったり深緑色だったり、足があったりなかったりと、表記ゆれのあるキャラクターでもあります。なにせAI生成ですので。
チンパンジーニ・バナニーニ (Chimpanzini Bananini)
むいたバナナの中身が緑色のチンパンジーの顔、というシュールなキャラクター。
このキャラクターに触発され、「チンパンジーニ派生キャラクター」「バナニーニ派生キャラクター」という二つの属性を増やした因縁のキャラクターでもあります。
ブルブル・パタピン (Brr Brr Patapim)
髭の生えたテングザルのような顔を持ち、身体は木々の集合体、伸びた根が手足になっている、欧州の妖精にいそうな雰囲気のキャラクターです。
ブゥブゥパタピン、プルプルパタピン、ブルブル・パタピム等、呼び名もバリエーションがあり、手のない姿で描かれることも。
作品によって悪役にも、不思議な精霊役にもなり得る辺りも妖精じみていますね。
トララレロ・ココチーニ (Tralalero Cocochini)
ココナッツの身体を持つサメです。
トララレロ(サメ)系とココチーニ(ココナッツ)系という、ブレインロット内でも人気属性を二つ持つキャラクターです。
カプチーノ・アサシーノ (Cappuccino Assassino)
テイクアウト用のコーヒーカップに忍者のハチマキを締めた二刀流キャラ。
カップの白以外は黒色で構成されおり、アサシン感を演出しているようです。
先述したバレリーナ・カプチーナと夫婦関係なのだとか。
丸くかわいらしい眼の割に、裏社会を牛耳る冷酷なダークヒーロー。
しかし、このハチマキ。明らかに日本の某人気忍者マンガのものなのですが、大丈夫なのでしょうか…
ボネカ・アンバラブ (Boneca Ambalabu)
「Boneca」とは、インドネシア語で「人形」の意味です。
タイヤの胴体にカエルの顔、人間の足が生えたキャラクター。
意外と邪悪な存在で、不穏さを感じさせる立ち回りが多いようです。
ブルバロニ・ルリロリ (Burbaloni Luliloli)
名前に「ココチーニ」とつきませんが、外観は立派なココチーニ系。
ココナッツの身体を持つカピバラです。
色味も毛並みもココナッツと相性が良く、AI生成の中では普通にかわいい方ではないでしょうか。
実際、愛されキャラとして人気があるようです。
トゥントゥントゥンサーフールのまとめ

でたらめなAI生成から発生したイタリアンブレインロット。
トゥントゥントゥンサーフールはじめ、様々なキャラクターが次々と生成され、ナンセンスなミーム文化を築いています。
すでに100体を超え、勢いを増していくトゥントゥントゥンサーフールたちは、いったいどこまで突き進むのでしょうか。
人間の想像を超えた彼らが、平和的に活躍してくれるよう祈るばかりです。