映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来』が2025年7月18日から公開され、公開60日間で観客動員2304万2671人、興行収入330億5606万6300円を突破。
8月からは海外各国でも順次上映開始されており、同年9月15日(月)までに日本を含む全世界で、累計観客動員5500万4375人、総興行収入680億1524万3965円と、冗談のような数字をたたき出しており、勢いはますます加速しています。
もはや世界中を巻き込んだ問題作『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来』ですが、原作のどこからどこまでを映像化したものなのでしょうか。
また、話題とはいえ実際に見てみて、つまらないと酷評する人の理由、面白いと絶賛する人の理由はそれぞれどのようなものなのでしょう。
ここでは、公開から2カ月を超えても人気がうなぎ登りの『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来』に対する評判をまとめてみます。
映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』は原作のどこからどこまで?

映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』は、
原作漫画の第16巻第139話「落ちる」~第18巻第157話「舞い戻る魂」に該当します。
以下の内容が描かれています。
- 無限城突入
- しのぶvs童磨戦
- 善逸vs獪岳戦(善逸&獪岳の過去)
- 炭治郎&義勇vs猗窩座戦(猗窩座の過去)
映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』の評判
興行収入が国内外ともにとんでもないことになっている映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』ですが、やはり、中には肌に合わない人「つまらない」という評価もあるようです。
悪い評価
あまりにも『鬼滅の刃』が持ちあげられ過ぎて、「そこまで言うほどか?」と白けてしまう人もいるようです。

背景やエフェクトがすごいだけ?
地上波の頃からではありますが、劇場版ともなると、背景美術やエフェクトのクオリティがすごいことになっています。
無限城の描写も「え? これ、街いくつ分?」と、地平線を眺め呆然としてしまう規模になっており、途方に暮れてしまいました。
畳の目も床や柱の木目も刀の波紋や柄等など、実写と見まごう素材感の再現まで抜かりなく、一目見ればその本気度は息を呑むほどであることは疑いようがありません。
しかし、キャラデザはリアル志向ではなく、少年漫画らしいディフォルメの絵柄。
あまりキャラクター以外をリアルに描きすぎで浮いているのでは?
力を入れればいいというものではなく、そのキャラクターや世界観に合った描写に統一するべきでは?
という指摘もありました。
シリアス以外が寒い
全体のストーリーや構成が上手いことは評価していても、その合間に挟まるギャグがつまらない、そこで白けて没入感がそがれる、という意見も。
確かに、鬼滅の刃のギャグは勢いがあるものや腹を抱えて笑う類とは違うかも……
個人的には、ものすごく面白いというわけではないものの、キャラクターの人間味やかわいらしさが垣間見えてほっこりするので好きですが、これは合う合わないがあるでしょうね。
泣かせようとしすぎ?
感動できる面がある作品として有名になってしまうと、製作側も感動シーンに力を入れるようになるのは自然なことであり、その塩梅が合わない人にはどうしても「泣かせようとする演出が鼻につく」となってしまいます。
個人的には、今回のメインである猗窩座戦とその過去を、あらゆるスタッフが総出で隙無く丁寧に描いてくれた結果だと感じましたが、
メインとはいえ、他パートに比べるとかなり尺も長く取られていましたし、「あからさま過ぎる」と感じてしまう人もいるかもしれません。
また、猗窩座の過去は、仕方のない背景があったにしても犯罪に手を染め荒れていた人間が、更正した結果掴みかけた幸せの絶頂で、他者の無慈悲によって絶望に突き落とされる、という構成。
その救いの無さにリアリティを感じるか「何もそこまでしなくても」と感じるかで、受け取り方も変わって来るのかもしれません。
良い評価
しかし、やはり『鬼滅の刃』の熱量はすごいです。
まず、履修している人の数がけた違いですから、当然劇場に行く人の数も、高い評価をつける人たちの数もすごいことになっています。

猗窩座のストーリーが泣ける
映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開されてから、SNS上で大きな変化が現れました。
猗窩座の人間時代の姿である狛治と、彼の妻である恋雪の幸せな二次創作が怒涛の勢いで投稿され始めたのです。
わたしはそれを見て上映開始日を知ったほどに、その日から連日、二次創作が溢れ続けています。
内容を知る方なら、その理由は明白でしょう。
せめて二次創作の中だけでも幸せな世界を作ってあげたい、という人をそれだけ多く輩出したわけです。
これだけでも、どれだけ見る人の心を揺さぶったのかがわかるというものです。
様々なハラスメントに対する評価が的確
これは原作全編通して言えることなのですが…
鬼滅の刃は、様々なハラスメント、その加害者の精神性に対する解釈と描写がすごく的確なんですよね。
多くは「鬼」の一面として描かれるわけですが、それが何故問題なのか、周りにどういう影響を及ぼすのかがすごくリアル。
そもそも、『鬼滅の刃』の鬼は始祖である鬼舞辻無惨からして人間。すべての鬼が元人間なので、どれだけ強くてぶっ飛んでいても、その根っこはどこまで行っても人間なんですよね。
そして、悪事を働いて来た彼らに対するとどめも容赦がない。
それを決して教養めいた押し付けではなく、しっかりとキャラクターの一部として成り立たせ、魅力的なストーリーに落とし込んでいるため、読者はそれの「何が問題なのか」「どうすればいいか」を自然に考え、促され、「そうなってはいけない」と示される。
子ども向け作品、児童書として理想的なんですよね。
そして、子どもに通じるものは大人にも通じる、の好例となっています。
主要キャラが容赦なく犠牲に
原作を読まず、先の展開を知らなかった人は、けっこうショックを受けたのではないでしょうか。
最終決戦である『無限城編』に入った途端、主要キャラが容赦なく犠牲になっていきます。
もちろん、今までも煉獄さんが命を奪われ、宇随さんが手足を奪われてと、様々な犠牲を払って来た作品ですが、『無限城編』に入ってからのその奪われていく勢いは、これまで以上のものがあります。
まだ第一章ですが、さっそくその一端を見せつけられ、最終決戦の洗礼を受けた人も多いでしょう。
魅力的なそれぞれのキャラクターたちが、次の瞬間にはどうなってしまうのか?
無事に生きて帰ることができるのか?
先が読めない展開が、緊張感を高めます。
映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』のまとめ

劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』は、原作の第16巻~第18巻の内容に該当します。
しのぶvs童磨戦、善逸vs獪岳戦、炭治郎&義勇vs猗窩座戦という三つの戦闘とそれぞれの過去が紡がれる内容となっています。
背景やエフェクトがすごいだけでキャラクターの造形と合っていない、ギャグや泣かせようとする演出が合わない人には白ける、等の批判もありますが、
原作に忠実に、しかし寄り深く掘り下げ、豊かに表現しようと、あらゆるスタッフが心血を注いでいることを感じられる濃密な内容となっています。
特に、今回一番のメインである猗窩座戦と彼の過去は多くの人の心を震わせ、SNS上では二次創作の勢いも苛烈なものとなっています。
恐らく、現代のアニメ映画ができうる珠玉の技術と熱意を込められた作品です。気になる方はぜひ、劇場で堪能してみてください。