『チェンソーマン』総集編は、劇場版『チェンソーマン レゼ編』公開に先駆け、2022年秋アニメとして放映されたTVアニメ版全12話を再編集し放映されたものです。
ただのアニメ版再編集なら、アニメを見た視聴者は見なくてもいいか……と思いきや、
『チェンソーマン』総集編が放映されるや否や、あちこちで「TVアニメ版よりもいい」「総集編じゃなくて完全版だ」と大絶賛され、話題を呼びました。
何故、『チェンソーマン』総集編はここまで絶賛されたのでしょうか。
TVアニメ版と総集編との変更点はどんなものがあるのでしょう。
TVアニメ版と総集編、これから観る人はどちらを見ればいいのでしょう。
ここでは、『チェンソーマン』総集編の気になる点をまとめてみます。
『チェンソーマン』総集編は何故絶賛された?
『チェンソーマン』総集編が絶賛された理由を探るためには、まずTVアニメ版の不評点を整理しなければいけません。

『チェンソーマン』TVアニメ版の不評点を改善
最初に言っておきますが、TVアニメ版も一目見て息を飲むほどすごく力を入れて作られた作品であることがわかる、クオリティの高い作品でした!
特に映像の美しさと音楽のセンスの高さは高く評価されています。
ただ、原作を読んだときの印象とTVアニメで映像化された印象にズレがあったために、違和感を感じたり、刺さらなかったりする原作ファンも多くいたようです。
不評点としてよく挙げられているのが次の二つです。
- テンポが重い。
- 引きの絵が多い。
- 一部セリフのカット
- 演技のテンションが抑えめ
全体的に描写が丁寧、といえば聞こえがいいかもしれませんが、原作漫画ならではの勢いを想像していると、冗長に感じてしまう人もいたようです。
俯瞰(ふかん)や引きの絵が多く、全体の印象、起きている事柄の異常さは伝わりますが、ダイナミックさや臨場感は減ってしまいました。
また、一部セリフがカットされたり、全体的に声優さんの演技のテンションが抑えめに指示されていました。
特に、デンジが初めてチェンソーマンとして復活した時の「俺達の邪魔ァすんなら死ね!」が何故か「邪魔ァすんなら死ね!」に改変されていた事には、多くの不満が上げられていました。

これは、わたし個人の勝手な推測ですが……
主題歌映像に映画のオマージュがかなり詰め込まれていることからもわかるように、「原作者藤本タツキ先生が大の映画好きで、映画の影響を多く受け作品に反映させている」ということにかなり重きをおいてアニメ化されていることを感じます。
TVアニメ版に感じたテンポの遅さや、引きの絵で俯瞰の印象を強めたり、演技を抑えめに統一させたりしているのは、実写映画のような雰囲気に近づけたかったからではないか、と感じています。
ただ、藤本タツキ先生はあまり絵をディフォルメ化させない画風でありながら、『チェンソーマン』においては驚くほどの勢いやコミカルさを表現してくるという、シリアスとギャグの目まぐるしいギャップとリズムの激しさが受けているので、
実写的に抑える場面とアニメならではのダイナミックさを使い分けた方が読者の印象に近く仕上がったのかもしれません。
……って、口で言うのは簡単ですが、それを実際にどの程度のバランスで、どうTVアニメで表現するのか、の塩梅が難しいんですけれどね。
『チェンソーマン』総集編とTVアニメ版の変更点
お次は、総集編とTVアニメ版の具体的な変更点に触れていきます。

前述した「邪魔ァすんなら死ね!」が「俺達の邪魔ァすんなら死ね!」と原作順守されたことには、多くのファンが胸をなでおろしました。
このセリフの「俺達」という言葉には、ポチ太に寄って生かされたデンジの、自分だけの身体ではない、ポチ太と共に生きるという意思が乗せられているだけでなく、このセリフはその後もセルフオマージュされていく重要なものだからです。
コウモリの悪魔戦中の「まだ一揉みもしてねーんだよ~!!」でカメラを引くTVアニメ版の演出も、放映当時「ダサい」と不評だったのですが、勢いあるカメラワークに組み込まれることで解消されていました。(こういう笑わせる演出を引きで表現されると、勢いが失われ我に返ってしまいますもんね)
総集編ならではですが、永遠の悪魔戦で中途半端に次週へ回された切り方も無くなりました。(TVアニメ版にするときは尺が絶対なので、毎話どこで切るかは悩みどころでしょうね)
特に印象深かったのは、未来の悪魔かもしれません。TVアニメ版では抑え気味に「未来、最高」と言っていたのが、原作の異様なハイテンションそのまま「未来!最高ォオオ!」にグレードアップしており、未来の悪魔独特の不気味さと愛嬌が再現されていました。

銃の悪魔も、TVアニメ版では突然家を吹き飛ばす描写でしたが、総集編では各国での犠牲者数を列挙するナレーションとテロップが追加され、銃の悪魔のスケールの大きさが表現されていました。
他に音響にも変化がありました。
TVアニメ版では、大きな音と小さな音の差が大きすぎて、どちらに合わせてボリュームを調整すればいいかわからないと言われていましたが、その差が小さくなりセリフも聞き取りやすくなりました。
総集編のため日常シーンがかなり削られましたが、ギャグシーンにコミカルなBGMが追加されることでバランスを取れたように思います。
また、サムライソード戦で主題歌KICK BACKが挿入された演出は、王道で胸が熱くなりましたね!
チェンソーびより

密かに、これに惹かれて総集編を見た人も多いのではないでしょうか。
前後編に分けて放送された総集編ですが、それぞれの最後で、原作単行本の巻末に収録されるおまけマンガ『チェンソーびより』が、今回初めてアニメ化されました。
総集編になって日常シーンが割愛された代わりに、「チェンソーびより」の追加によって、キャラクターたちの他愛のない日常が印象付けられるという効果もありました。
チェンソーマンにおいて、この「他愛のない日常」もまた重要な要素ですからね。
【総集編 前篇】
「もったいない」:1巻巻末描き下ろし
「デンジとポチタわたしの定番料理」:2巻巻末収録(※2019年ジャンプ4・5合併号掲載の年末番外編)
「大人の味」:2巻巻末描き下ろし
「チョンマゲ」:5巻巻末描き下ろし
【総集編 後篇】
「パワーの事を知ろう!」:3巻巻末描き下ろし
『チェンソーマン』総集編とTVアニメ版、どちらを見ればいい?

『チェンソーマン』総集編とTVアニメ版、結局どちらを見ればいいのか問題ですが、
原作ファンや手っ取り早く『レゼ編』までの内容を知りたい方には総集編をおすすめします!
ただ、前述しましたが、チェンソーマンは他愛のない日常も重要な要素となる作品です。
時間に余裕のある方はぜひ、日常パートも丁寧に描かれたTVアニメ版も合わせて楽しんでほしいと思います。
『チェンソーマン』総集編はどこで見られる?

『チェンソーマン』総集編は、以下の配信サイトで配信されています。
- ABEMA
- DMM TV
- dアニメストア
- dアニメストア ニコニコ支店
- FOD
- HAPPY!動画
- Hulu
- J:COM STREAM
- Lemino
- milplus
- music.jp
- Netflix
- Prime Video
- TELASA
- U-NEXT
- アニメタイムズ
- アニメ放題
- カンテレドーガ
- クランクイン!ビデオ
- ニコニコ
- バンダイチャンネル
- ビデオマーケット
- ふらっと動画
- ムービーフルplus
『チェンソーマン』総集編のまとめ

『チェンソーマン』総集編は、ただの総集編ではなく、TVアニメ版の反省点を改善した、完全版とも言える再編集編でした!
実写映画のような丁寧な作りから一転、勢いある戦闘シーンやコミカルなシーンとのリズム感が原作にかなり近く再現されています。
是非劇場版『チェンソーマン レゼ編』の前に『チェンソーマン』総集編で復習しておいてくださいね!