『運命の巻戻士』スパイ任務編は、『運命の巻戻士』の第5章に当たる話です。
単行本で3巻にまたがる長編で、途中までは時系列にトラブルを解決していくためわかりやすいのですが、今回のターゲットであるエンノシタを救出したところを皮切りに、話の目的がガラリと変わり、複雑になっていきます。
今回は、その『運命の巻戻士』スパイ任務編の解説第2回目。ちょうど、話の転換期が来るところからです。
エンノシタは救出されるのか、その任務と同時並行で巻戻士本部に怒っていたトラブルとは、そして暗躍していたクロックハンズの正体とは、等など、驚きの急展開の連続です。
『運命の巻戻士』スパイ任務編のネタバレ解説です。
単行本第5~7巻を読まれてからご覧ください!
『運命の巻戻士』スパイ任務編の解説(2/3)
今回の解説は、まず、クロノたちが金庫内での水責めを攻略していたころ、同時並行で巻戻士本部で起こっていたトラブルの話からです。
その頃の巻戻士本部(2087年)
今回、クロノたちが任務に取り組んでいる2055年とは別に、2087年の巻戻士本部でも動きがありました。
クロノとチャイヌが任務に向かった後、シライとゴローが、巻戻士本部の第2多目的室に、現在本部にいる人間全員を召集したのです。
全てのドアに檻をして巻戻士全員を閉じ込めた二人が切り出したのは、驚くべき事実。
これまで(クロックハンズが出没した第2章~第4章)に、任務の内容や巻戻士の出身時代、本来の命日などがクロックハンズに筒抜けであったことから、巻戻士内にスパイがいると言うのです。

今まで、巻戻士本部にいる人間は毎日AIによる生体・精神チェックをしているため、スパイの侵入は無理だとされていましたが、認識を改める必要があるようです。
そこで、シライとゴローは、出身時代リストの保管室のセキュリティを一時的に緩め、超小型カメラを仕込んだ偽の出身時代リストの冊子を置いておきました。
その超小型カメラの映像を、ここで全員で確認し、スパイの正体が判明した瞬間、全員で捕獲する算段なのです。
そして、超小型カメラに映し出されたスパイは、1級巻戻士ハクギン。
ハクギンの正体は、チャイヌの隠していた第8の姿チャネエ。超戦闘型で、室町時代に創始された”獣神流槍術”を体得した、最強の槍の使い手です。
巻戻士たちはハクギンを問い詰めようと身構えますが、クロノとチャイヌ以外全員が巻戻士本部にいるはずなのに、ハクギンはどこにもいません。
つまり、チャイヌがスパイの正体だとわかり、いっしょに任務に就いているクロノの危険を察したシライたちは救援に向かうことにします。
ただ、同じ時代に任務に行ける最大人数は3人。クロノとチャイヌの元に行けるのは、残り1人だけです。

隊長の責務として裏切り者を殺すため、ゴローがクロノたちの元へ向かうことになりました。
382~384回目 ハクギン、“3時”登場
一方その頃、クロノたちは金庫の浸水対策に専念していました。
毎回、部屋の体積ぴったりの水が自動で入ることに着目したクロノは、大量のドラム缶で部屋の体積を増やします。
そこに構わず今まで通りの水量が注がれることで、水圧で壁のもろい部分に穴が開き、PM10:00、3人はなんとか脱出できました。
PM10:03 39階会議室のパソコンから、警察に闇取引のデータを送信。
これで、エンノシタ救出ミッションも、エンノシタによる密告も完了です。
肩の荷が下りたエンノシタは、チャイヌに聞かれ、今回の情報を得た背景を説明します。
実はエンノシタは、社長秘書と同期。
たまたま社長のパソコンをみて闇取引のことを知った社長秘書は、友人のエンノシタに話したのです。
エンノシタは友人を危険に晒さないため、誰にも明かすことができませんでした。
PM10:05 ようやくエンノシタの情報元を突き止めたチャイヌはハクギン(チャネエ)に“変換”し、クロノを殺害。エンノシタに襲いかかったところでゴローが登場し、リトライします。
チャイヌの目的は「エンノシタがTOTE社長の闇取引を知ったきっかけ」を探ること。
TOTEの社長がクロックハンズの一員で、チャイヌはその手下だったのです。
383回目 8月8日AM8:55 到着後すぐにゴローはクロノを連れ物影に隠れ、382回目にクロノが殺害されたためクロノは382回目の記憶が無いこと、チャイヌがクロックハンズのスパイであることを伝えます。
クロノはチャイヌを捕まえ話を聞こうとしますが、ゴローはリトライされるから殺すしかないと判断。
襲い来るチャネエにゴローは“変形携帯(アイフォームガラケー)”の#001“銃(ガン)”で応戦しますが、話し合おうと立ちはだかったクロノがチャネエの獣神槍”猿之槍“に貫かれ、致命傷。ゴローがリトライします。
384回目。ゴローは“変形携帯)”を駆使してチャネエを追い詰めます。
しかし、それをクロノが邪魔し、チャイヌはTOTE72階社長室にいるTOTE社長=クロックハンズ“3時”ハイドの元へ。
ハイドは、チャイヌの育ての親。チャイヌはハイドを「おじいちゃん」と呼んで慕い、6歳の時から巻戻士本部に入り込んでいた理由もハイドの指示でした。
今回も、チャイヌは、クロックハンズの資金集めのためにTOTE社長に君臨し闇取引をしていたハイドの手助けをしていたのです。
”変形携帯(アイフォームガラケー)”
ゴローの持つ特殊アイテム“変形携帯”は、任意の番号を打ち込むことで変形し、999個の機能を使える携帯。
今回のスパイ任務編だけでも、以下の20の機能が披露されました。
- #001 銃(ガン)
- #002 剣(ソード)
- #003 強制転送(ウィズドロー)
- #005 拳鍔(メリケンサック)
- #006 刺股(サスマタ)
- #008 盾(シールド)
- #009 爆弾(ボム)
- #010 十手(ジッテ)
- #011 小刀(ナイフ)
- #012 鉄槌(ハンマー)
- #023 双節棍(ヌンチャク)
- #028 噴射器(インジェクション)(煙)
- #087 機関銃(マシンガン)
- #144 鎖鋸(チェーンソー)
- #255 配車(ディスパッチ) 周辺の車をハッキング
- #202 大剣(ラージソード)
- #477 弩(ボーガン)
- #500 監禁(コンファイン) 時空転送できなくなる電波
- #744 虚偽(ディセプション) リトライアイの表示を偽装した。
- #750 斧(アックス)
384~466回目(VS“3時”48回目) チャイヌ改心、クロノ開眼
384回目、1日目AM9:07 チャイヌを捕まえる方法を思いついたクロノは、ゴローを説得し一回だけチャンスをもらいます。
AM10:05 社長室で、チャイヌは巻戻士にスパイであることがバレたことをハイドに打ち明けますが、ハイドはチャイヌの身を心配してくれます。
そこに、クロノとゴローが突撃。
クロノは、“変換”して襲って来たチャワンをわざと怒らせて隙を作り、強化メタルの鎖付きの首輪をはめて捕獲。
しかし、その鎖をチャネエの槍が破壊。チャイヌは昔語りを始めます。

チャイヌの母親は、なんと、チャイヌ自身。
大人になったチャイヌが巻戻士として受け持った2005年の火事から20人を救う任務中、ターゲットの一人と恋に落ち、結婚。
出産直後、DNA鑑定でチャイヌは行方不明だった自分の父親と結婚したことが判明。
未来のチャイヌが産んだ子どもは、自分自身だったのです。
ショックを受けたチャイヌと父親は、生まれた赤ん坊を捨て、それをハイドが保護して育てました。巻戻士のスパイに仕立て上げるために。
タイムパラドックス――タイムトラベルによって生まれた矛盾そのものである自分の正体を知った当時8歳のチャイヌは絶望し、“開眼”。
チャイヌの“変換”は、チャイヌの心を守るために生まれた人格たちだったのです。
その隙に忍び寄っていたゴローがハイドに襲い掛かります。チャイヌは駆けつけようとしますが、遠すぎて間に合いません。
そのとき、ハイドは舌打ちをしました。
「ちっ…。早く来いよ…。」「お前ら全員、ビルから落ちろ」そう言ってハイドが指を鳴らすと、
途端、ゴロー、チャイヌ、クロノ、スマホンはビルの外の空の上に放り出され、ゴローの大剣はチャイヌを打ってしまいます。
ハイドはチャイヌを捨てたのです。
全員を助けるため、クロノがリトライします。
385~418回目 チャイヌの説得
385回目。ゴローが“変形携帯”の#500“監禁”で、時空転送できない電波を発生。ハイドの逃走を防ぎます。
これにより、巻戻士はクロックハンズのタイムマシンを、クロックハンズは巻戻士のリトライアイを全て壊すことが勝利条件となりました。
さっそく襲いかかって来たチャイヌに、クロノとスマホンは、前回ハイドがチャイヌを裏切り、チャイヌが殺されたことを伝え、いっしょにハイドをつかまえようと説得を試みます。

しかし、チャイヌは笑い飛ばします。そんなことするわけないじゃん、と。

ゴローとチャイヌの戦闘開始。クロノは二人の戦闘を止められません。
418回目、クロノは、TOTE入社試験の受験者たちに、会場への案内の振りをして戦闘する二人の元へ向かわせ、二人の戦闘を邪魔します。
一般人を巻き込むわけにはいかないとゴローが武器を納める中、クロノはチャイヌに手錠をかけて、TOTEの中へと連れ去ります。槍で手錠の鎖を切られないよう、チャイヌが右ポケットに二つ隠していた槍も回収して。
クロノは、チャイヌを仕留めようと執拗に追いかけて来る隊長をまくためのルートも導き出しました。
- 入り口の警備員を強行突破。
- 締まる直前のエレベーターにすべり込む。
- 地下1階で降りて、営業課を走り抜ける。
- ツボネが印刷機の故障で困っているから、イスをぶつけて直してあげる。(ゴローからの逃亡には関係ない)
- ロッカールームに入って、10番ロッカーの中にあるボイラー室の鍵をゲット。
- ボイラー室に入る
- ライターで火をつける。
- 2秒後の大爆発の勢いを使って、奥にある制御室まで全力疾走。
- 火事の煙でハイドの監視カメラを故障させ、裏切られたことを忘れてるフリをするチャイヌと本音で話す時間を確保。
手錠をかけたときに、その鎖のことを覚えていたチャイヌの様子を見て、クロノはチャイヌが裏切られた384回目を覚えており、384回目に死んでいないことを確信していました。

チャイヌは、ようやく本音を語ります。
チャイヌがハイドに捨てられたことを覚えていたら、ハイドはチャイヌをすぐに始末するでしょう。
チャイヌが捨てられたことを忘れ、クロノたちを始末出来たら、ハイドはチャイヌを見直し、元通りの生活に戻れます。
チャイヌは、自分を産む”運命”を変えたら消えてしまうかもしれないため、なんとしてでも運命通り生きなければいけないと考えていました。
そのために、何も考えずにハイドの言う通りにしていれば、運命通り生きられる。ハイドがいなければ生きられない。その一心で、ハイドの命令に従い続けていたのです。

クロノは激昂します。「何が運命だ!! 自分の未来は自分で決めろ!! チャイヌさんはどうしたいんだよ⁉」
そこに、ついに突入してきたゴローがチャイヌに振り下ろしたチェーンソーを、クロノが受け止めます。
こう着状態に陥る中、ハイドが空中に百のレーザー銃を出現。
絶体絶命の中、クロノはチャイヌに叫びます。「聞かせてください!! チャイヌさんの気持ちを!!!」
AM9:09 チャイヌが全てのレーザー銃を一刀両断。
チャイヌの答えは、自分の運命と闘う事。もう、自分の“家族”に悪いことはさせたくない。自分の力で、未来を変えてみたい。と応えます。
チャイヌを始末するのはやめようと改めて訴えるクロノに、ゴローは、チャイヌの処分はハイドをつかまえたあとで考えることを了承。
クロノ、チャイヌ、ゴローの3人で共闘し、ハイドをつかまえることになりました。
『運命の巻戻士』スパイ任務編解説(2/3)のまとめ

『運命の巻戻士』スパイ任務編の解説(2/3)はいかがだったでしょうか。
ターゲットを救出できたと思ったのもつかの間、むしろここからが本編開始です。
「スパイ任務編」というタイトルも、クロノたちがTOTEにスパイとして潜入することだけでなく、チャイヌが今まで巻戻士のスパイをしていたことともかけてありました。
そのチャイヌも味方につけ、次回からはいよいよスパイ任務編の解説最終回。クロックハンズ“3時”戦突入ですよ!

