『運命の巻戻士』∞編の徹底解説。
今回は、“4時”キンスケの“無限極限(ファイナルエンドレス)”が島全体を“∞”させる能力ではなく、“無限夢”というキンスケの支配下の夢に対象者を閉じ込める能力であることが判明。
この“無限夢”の中で、“無の世界”で888年過ごさせられるという状況に陥るところ~“無限夢”を打開するところまでを今回解説します。
次回からが“∞”編のクライマックスで、加速度的にややこしくなっていくので、今回までの流れをよく理解した上で先に進んでくださいね。
この記事は『運命の巻戻士』∞編のネタバレ解説です。
単行本第7~12巻を読破した上でご覧ください!
運命の巻戻士∞(エンドレス)編の解説(9)
ついに、“4時”キンスケのタイムマシンを破壊したクロノたち。
しかし、それは、すでに仕組まれていた絶望にようやく気づくきっかけでしかありませんでした。
無の世界

タイムマシンを破壊。
その瞬間、“エンドレス”の声と共に、町も人も無くなり、世界が平面になりました。
スマホンも動きません。
実は、花火に“∞”を描かせ発動した、“無限極限(ファイナルエンドレス)”は、ワダツミ島をループさせる能力ではありません。
“無限夢”とも呼び、“∞”型(今回は花火)を見せた者たちの脳の意識を∞させ、キンスケが作った夢に閉じ込める能力だったです。
夢の中では長い時間を過ごしたのに、現実ではほんの短時間しか経っていなかった、という経験は誰しもあると思います。
それと同じように、現実ではほんの一分に満たない時間(体感では8分もの間)クロノたちを眠らせ、夢の中で闘わせていたのです。(どうやら人間ではないスマホンは連れて来られなかったらしく、それまでコミュニケーションを取っていたスマホンは、現実とは関係のない夢の世界のスマホンだったようです)
なので、クロノたちが夢の中のキンスケの時計を壊しても、現実のキンスケの時計は無傷。夢の中で何をしようが、キンスケには勝てようもありません。

体感時間8分38秒 キンスケはクロノたちを、“無限夢”で作った“無の世界”で888年過ごさせると宣言します。
昼も夜もない、見渡す限り真っ白な世界。死ぬこともなく、人間の平均寿命85歳の約10倍もの時間を何もない世界で過ごせば、人間の精神と記憶は崩壊し、廃人になること必至。
888年経つと自動で目が覚めますが、現実世界ではほんの1秒後。
キンスケが指で“∞”マークを作ろうとしていることに気が付き、クロノはキンスケの手を見ず離れるよう二人に指示し、走り出します。
島がループした(“無限夢”に囚われた)ときも、町と人が消え世界が平面になり夢の世界の正体があらわになったときも、キンスケが手で“∞”マークを作っていたからです。
それに、つなぎ目を壊せば出られるはずだとクロノは考えていましたが、キンスケにつなぎ目は現実にあるから夢の世界からは絶対に出られないと告げられます。
その事実に不意を突かれたクロノたちの目の前に、大きな“∞”マークが出現。指でなくても∞マークさえ見せれば、キンスケの能力の影響を受けてしまうのです。

クロノは慌てて二人の目を塞ぎましたが、無情にも無の世界での888年がスタートしてしまいました。
真っ白な世界に閉じ込められ、その上グレイだけがほんの短時間ですが、姿が消えかけます。
グレイは“無限極限”の花火もとっさに目をつぶり、つい先ほどの大きな“∞”マークもクロノに目を塞がれたため、キンスケの“∞”の効き目が弱かったからなのですが、このときは姿が消えかける原因がわからずにパニックになります。
∞廊下の時はパニックになるグレイに苛立ち追い詰められ動けなくなっていたハイザキですが、このときは「グレイがパニックになるのも無理もない」と受け入れており、精神的な成長が見られます。
仕方なくグレイ抜きで状況を整理する二人ですが、やはり取れる手段は、キンスケが言った「つなぎ目はない」は弱点を隠すウソかもしれない、という可能性にかけることのみ。
クロノは「おれを信じろ!!」とハイザキを励まし、ハイザキもクロノに習ってつなぎ目探しを開始します。
2時間後にはグレイもつなぎ目探しに協力し始めますが、6日後にはまたパニックを起こし、10日後にはグレイもハイザキも動かなくなってしまいました。

1年経つ間に、どれだけ探してもつなぎ目が見つからず、どこまで探したのかすらわからなくなり、何日も他の方法も話し合いましたが、何も出ず、いつの間にか誰もしゃべらなくなっていました。
1年経っても、何も進展がなく、これがあと887年も続くのです。
「おれはあきらめない…!!」「あきらめなければ未来は変えられるんだ…!!」クロノはそれでもいつもの言葉を言い聞かせ、「なあスマホン…!!」といつも通りスマホンに話しかけますが、スマホンは無反応です。
一気に首をもたげる不安を振り払うため、いつも思い出すトキネの励ましの言葉を脳裏に描きますが、なぜかうまく思い出せません。
クロノは元々、運動も勉強もできず「ゴースト」と馬鹿にされて来た少年で、巻戻士の才能があるわけでもありません。
今までも、助けてくれる強力な仲間がいましたが、今回は経験ゼロの新人をクロノが助けなければいけない立場。
それなのに、キンスケの能力はあまりにも強く、打開策が見つからない現状に、さすがのクロノも「もう、立てない」と絶望してしまいました。

しかし、そのとき。夢の世界だからでしょうか。「大丈夫?」と手を差し伸べるトキネの姿が現れたのです。
クロノはトキネに懺悔します。今までずっとトキネのまねをして強がっていただけだ。ほんとはいつも失敗するのが怖くてしかたないんだ。もうみんなを救う方法がわからない。おれには無理だよ…。
巻戻士になってから初めてこぼされるクロノの弱音を、トキネはしかり飛ばします。「言ったじゃん! お兄ちゃんに足りないのは自信だけだって!」と。
「たとえお兄ちゃん自身がお兄ちゃんを信じなくても、みんなが、お兄ちゃんなら未来を変えてくれるって信じてるよ!」「お兄ちゃんに助けてもらったみんながね!!」
トキネに促され後ろを振り向くと、今まで助けたみんながクロノを励ますように立っていました。
トキネは改めてクロノを励まし、「いつものセリフもう一回さけんで!」と言います。「リトライ!」

いつもの調子を取り戻したクロノは、ハイザキに伝えます。今からハイザキを気力を持たせたまま現実の世界に戻すから、本部に戻って“花火を見るな”という伝言を伝えるように、と。
それを傍で聞いていたグレイは、また消えかかりながら、“花火を見るな”という言葉に聞き覚えがあることを思い出し、それが引き金となって、シロがこだわっていた“花火を見るな”という記憶と結びついた瞬間、完全に“無の世界”から姿を消し、
それと入れ替わるようにして、無の世界の壁が外側から打ち砕かれ、打ち砕いたグレイが言います。「全部わかった…!! クロノを助けるのは、ウチだったんだ!!!」
呆気にとられたクロノとハイザキは、グレイに促されるまま外に出ると、途端、現実のワダツミ神社PM7時48分9秒に戻ってきました。

運命の巻戻士∞(エンドレス)編の解説(9)のまとめ

『運命の巻戻士』∞編、いよいよ佳境です!
実は、実際には島全体が“∞”にはなっておらず、そういう夢を見せられていただけという種明かしに混乱した人も多かったのではないでしょうか。
“無限極限”の本来の能力は、“4時”の支配下である夢“無限夢”に対象者を閉じ込め、都合の良い夢を見せられるという事。
「何もない世界で果てしない時間を過ごさせられ、廃人になる」というのは、いわゆる『5億年ボタン』問題を彷彿とさせますが、そんな中で一度は絶望してもまた希望を見出そうとする「あきらめない」クロノの精神が、実は時を超え奇跡を起こし、今回のグレイによる脱出に繋がっています。
次回はその、何故グレイが“無限夢”を攻略できたのかの解説です!

