『運命の巻戻士』∞編の徹底解説、今回はハイザキの過去と、キンスケとクロックハンズとの出会いという、∞編の背景に迫ります!
ハイザキの正体とクロノとの関係、彼が何故ギンを殺したのかや、
今回のクロックハンズ“4時”の正体と、彼らとキンスケの出会いと、
まだ年端もいかない少年たちが直面するにはあまりにも辛い背景と、それを繋いでしまったギンの死は、重く∞編にのしかかります。
この記事は『運命の巻戻士』∞編のネタバレ解説です!
単行本第7~12巻を読破されてから読んでください!!
運命の巻戻士∞(エンドレス)編の解説(4)

なぜか持っていた日記の切れ端に書かれた内容に従ってギンを殺したハイザキ。
彼がこの日記を手にするまでの経緯が明かされます。
ハイザキの過去
2092年のカゴシマに暮らしていたハイザキ(当時10歳)は、両親と死別し、引き取り先の養母とその兄弟から虐待を受けていました。(未成年でありながら働きに出されてもいたようです)
何回も家出を試みていますが、その度に警察に連れ戻されているハイザキは、あきらめながらもまた家出しました。

行く当てもなく、ゴミ捨て場の近くに座り込んでいると、ゴミ捨て場のゴミの山から何かが落ちました。
拾い上げてみると、それはヒビが入ってボロボロのスマホ――スマホンだったのです。
ハイザキが拾うときに電源ボタンを押してしまったのか、起動したスマホンはAIクロノの姿を投影します。
スマホンはハイザキに、巻戻士のこと、AIクロノはクロノという巻戻士の記憶をコピーし再現したAIであることを説明します。
本人と性格も同じだというAIクロノは、クロノ本人はトーキョーの巻戻士本部にいると説明しますが、AIクロノとスマホンの記憶はスパイ任務が終わったところまでで止まっており、2087年のトーキョーにいたはずなのに2092年のカゴシマにいる理由も、AIクロノが作られた理由も思い出せません。
ハイザキは、AIクロノとスマホンが時空警察の者であることを知ると、また連れ戻されると警戒しますが、クロノは「おまえは自分の力で前に進んだんだ!」とハイザキの勇気を褒め、巻戻士本部で保護すると言ってくれました。
しかし、どの街も(ハイザキの話では世界中が)大地震か戦争でもあったかのように街中が荒廃しており、交通がマヒして、公共交通機関も自家用車も役に立たず、治安も悪いため、カゴシマからトーキョーへ行くのは無理だと言います。
それだけでなく、養母のセリフや炊き出しの風景などから、慢性的な食べ物不足に見舞われていることがわかります。

それでも、AIクロノは歩いて行くことを提案し、AIクロノとスマホン、ハイザキの旅が始まりました。
あくまでもホログラムのAIクロノは実体がなく、リトライもできませんが、ハイザキに様々な指示をして山菜での料理を教えたり、スマホンもクロノの武勇伝を語ったりと、楽しく旅を続けました。
ハイザキが(おそらくおもちゃの銃で)射的の腕があること、スマホンがハイザキに記憶力テストをする光景も書かれているので、クロノの話を聞いて巻戻士に興味を持ったハイザキに、巻戻士としての勉強もさせていたようです。
恐らく、義務教育も受けさせてもらえていないハイザキに、できるだけの教育をしたかったのでしょう。
半年後には、ハイザキは巻戻士の入隊試験を受けるという夢を抱くようになっており、
クロノはハイザキにとって初めて信頼できた、兄のような存在になっていました。
2093年。一年がかりでたどり着いた巻戻士本部は、壊滅していました。

地下8階のデータルームにある書類を確かめると、ハイザキは次の情報を知ります。
- 2087年 巻戻士クロノ、“CASE88”で死亡。
- 2089年 アカバ、レモン、シライ、ゴロー死亡。チャイヌ行方不明。
- 2090年 クロックハンズの襲撃により本部壊滅。
- 2087年 クロノ死亡後後続育成のため再現AIを制作。
それを聞き、スマホンも記憶を取り戻します。本部を襲撃された時に巻戻士たちに逃がしてもらったこと。その最中に傷ついたせいで、AIクロノとスマホンは記憶を失っていたのです。
そのAIクロノとスマホンも、その傷がたたり、とうとうあと数分で壊れてしまう状態でした。
AIクロノは、一人残されるハイザキに、旅の道中の修行で生きる力を身につけたと励まします。

「未来に向かってがんばるんだ!! 俺の一番弟子だろ!?」
AIクロノとスマホンは精いっぱいの笑顔を向け、消えました。
一人取り残されたハイザキは号泣します。
泣き止んだ頃、データルームに遺されていた、古いノートのページがバラバラに詰め込まれた箱を見つけます。
- 2092年4月30日 ハイザキがカゴシマでスマホンを拾う
- 2092年8月16日 ハイザキ一行ヒロシマで炊き出し
自分たちの旅路が書かれているそのノートが、クロノが話していた未来が書かれたクロックハンズの日記を巻戻士が集めたものだと察したクロノは、“CASE88”に関するノートを探し当てます。
「巻戻士クロノは“CASE88”で“4時”に殺される」
“4時”は幼少期に“CASE88”のターゲットの中にいたのだ。
クロノはこの皮肉な運命に気づけず 幼少期の“4時”を救ったあと4時の“∞(エンドレス)”で殺された
“4時”は午後7時43分ワダツミ神社の、神木の前に現れたかれだった。
その日記の内容は全て歴史と一致することも確認し、日記に書いてあることは必ず起こると断定したハイザキは、タイムスリップして“4時”が“4時”になる前に殺し、クロノを助けることを決意します。

クロノが死ななければAIが作られることはなく、ハイザキとクロノの出会いが無くなることも覚悟のうえで。
巻戻士本部に遺されていたタイムマシンを使い、ハイザキは2083年にタイムスリップ。訓練施設での4年間の修行を経て、2087年、巻戻士となり、“CASE88”への参加を志望。
そうして、成長したら“4時”となりクロノを殺すはずのギンを殺害したのです。
クロノは当然、納得などできませんが、ハイザキに「きみならわかってくれるだろ」「これでよかったって」と語りかけられたスマホンは何も返せません。
クロノは逃げるようスマホンに声をかけますが、間一髪、スマホンはハイザキにプロペラを撃ち落とされて捕まり、強制転送させられそうになった瞬間、
PM7:48 時間が止まります。
キンスケとクロックハンズの出会い

キンスケはハイザキに撃たれたギンを見つけると、ギンを抱き上げ、その場を逃げ出していました。
助けを求め街中をかけていくキンスケの前に、クロックハンズの“1時”“4時”“5時”“6時”が「お前に時計(タイムマシン)を渡しにきた」と立ちはだかります。
タイムマシンと聞いたキンスケは、その時計を奪い、リトライしてギンを助けようと考えますが、クロックハンズに「ハイザキがギンを殺すことは、“運命”で決まっている。絶対に変えられない。」と止められます。
キンスケは、クロノたちがリトライで未来を変えてきたことを訴えますが、“1時”が取り出した日記帳には“リトライ”を含めたすべての歴史が書いてあると言うのです。
実際にその日記帳には、「クロノは169回目に“過冷却”を使って、レストランの22人を救う」と書いてある、と“1時”は読み上げて見せ、ギンが死ぬルートしかないからギンは救えないと断言します。
一人だけ顔を見せている“4時”は、呆然とするキンスケに、自分が未来のキンスケだと言います。
キンスケはまだ信じられず、ギンは救えると信じたい一心で、その場にあった棒で自分の額に真一文字の傷をつけます。今思い付きでつけた傷が“4時”にあるわけが無く、それこそが自分が“4時”にはならない証明になると思ったのです。

しかし、帽子を取った“4時”の額には、今つけたばかりの傷の跡がありました。
本当にギンは救えないのだと絶望したキンスケは、何故ハイザキがギンを殺したのか尋ねます。
そこで“1時”が見せたのは、2093年、ハイザキの過去の動画。
ハイザキがスマホンとAIクロノと共に旅し、壊滅した巻戻士本部にたどり着いたところまでを見せますが、AIクロノが消える直前にハイザキに
「いいか、“CASE88”のキンスケとギンのどちらかが、“4時”になっておれを殺すんだ。あの兄弟を消してくれ!!頼んだぞ、ハイザキ!!」
と伝えており、クロノこそが自分の命ほしさに何の罪もないギンを殺すようハイザキを送り込んだというのです。

キンスケはとうとう、ギンの仇を討つことを決意します。
巻戻士は命を選んで救い、自分に都合の悪い者は消す。
他の乗客が助かり、ギンだけが死んだのは、タイムマシンと巻戻士が平等だった運命を歪ませた結果だ。
タイムマシンをなくして正しい歴史、“平等な死”を取り戻そう、と誘いかける“1時”の手を、キンスケは取ってしまいました。
しかも、実は“4時”は20歳のキンスケ、その後ろに控えていた“5時”は40歳の、“6時”は60歳のキンスケで、クロックハンズになったキンスケはそれから50年間も復讐にかける人生を送ることになるのです。
運命の巻戻士∞(エンドレス)編の解説(4)のまとめ

『運命の巻戻士』∞編、謎に包まれたハイザキとキンスケ=クロックハンズ“4時”の驚くべき背景が明らかになりました。
絶望的な生育環境から救い出してくれたAIクロノを敬愛し、本物のクロノに出逢うことを目標としていたのに、それを打ち砕かれたばかりかクロノがすでに死亡し、AIクロノも失ってしまったハイザキ。
ずっと親代わりになって愛し守って来たギンを理不尽に殺され、それから50年間も復讐のために生き続けるキンスケ。
どちらも、同情せずにはいられない経緯の元、自らの手を汚すことになってしまいました。
この二人の苦しみの連鎖を断つことがこの物語の一つの鍵となりますが、一体どう展開していくのでしょう。

